NBAドラフト2024 予習 : 体力測定 後編

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明日はドラフト!現地的はもうドラフト当日です。

引き続きNBAドラフトコンバインとGリーグエリートキャンプでの測定結果を見ていきます。
今回は体力測定のうち、Standing Vertical Leap(垂直跳び)とMax Vertical Leap(助走ありジャンプ)の結果と、最高到達点TOP5など。

身体測定と体力測定のスピード・アジリティ系については、過去記事で。
身体測定 前編(身長・体重)
身体測定 後編(Standing Reach・Wingspan)
体力測定 前編(3/4 Court Sprint、Lane Agility、Shuttle Run)

ドラフトコンバイン参加者で体力測定値のない選手については、体力測定 前編を参照してください。

前回同様、ドラフトコンバインとエリートキャンプは別々に、PITは特筆しておきたいとこだけ書いておきます。

Draft Combine Strength & Agility | Stats | NBA.com
2024 G League Elite Camp Official Testing Results – The NBA G League
2024 Portsmouth Invitational Tournament Measurements and Athleticism Testing

名前に* 印がついているのは、エントリーを撤回した選手です。

Standing Vertical Leap (垂直跳び)

ドラフトコンバインの垂直跳び

ドラフトコンバインのStanding Vertで一番高く跳んだのは、デビン・カーターくん (Davin Carter)、アデム・ボナくん (Adem Bona)、オソ・イグダロくん (Oso Ighodaro)の35インチ(約89cm)。

オソくんの名前の本人発音はカレッジ公式プロフページで聴くことができます。(名前の横の耳マーク)
Oso Ighodaro – Men’s Basketball – Marquette University Athletics

オソくんは学業を優先する家庭で育ったので、組織化されたバスケチームに参加したのは高校1年の時が初めてだったそうです。でもそのおかげで大学では、ファイナンスの学位 (degree)と経営学の修士号 (master)を取得することができたとか

Unlike his peers, Ighodaro didn’t play AAU or organized basketball until he was a freshman in high school. Ighodaro grew up in a strict, academics-focused household. Extracurriculars were secondary.

“I wanted to play basketball, so the emphasis that was put on academics made my life easier going forward because I was able to get a finance degree and a business administration master’s,” Ighodaro said. “It wasn’t as difficult for me because I have that strong foundation. This has always been the standard of my family. There wasn’t really an option. That’s what you did in the Nigerian culture.

Marquette’s Oso Ighodaro bringing positional versatility to the NBA

これとても良いなので、ぜひ読んでみてください。
Marquette’s Oso Ighodaro bringing positional versatility to the NBA

次いで、トレンティン・フラワーズくん (Trentyn Flowers)が34.5インチ(約87.5cm)、トレボン・ブラジルくん* (Trevon Brazile)が33インチ(約84cm)で、ここまでがドラフトコンバインのTOPです。

トレンティン・フラワーズくんは、米国の高校卒業後カレッジには進学せず、NBLで1シーズンプレーしました(公式のハイライト動画)。
NBL公式がフラワーズくんのドラフトコンバインハイライトみたいな動画を出してくれてて、これにStanding Vert測定してる様子もチラっと入ってますね。

ドラフトコンバインでStanding Vertが一番低かったのは、フアン・ヌニェスくん (Juan Núñez)とペイトン・サンドフォートくん* (Payton Sandfort)の22インチ(約56cm)。一番高く跳んだ選手たちと比べると30cm以上も低いです。(ヌニェスくんの測定はイタリアでのコンバイン開催時)
次いでアレックス・カラバンくん* (Alex Karaban)が22.5インチ(約57cm)でこの3人がワースト3。

今年のドラフトコンバインでのStanding Vertical Leapの平均は約29インチ(約74cm)でした。

エリートキャンプの垂直跳び

エリートキャンプからドラフトコンバインに参加したコたちは、おそらくエリートキャンプでの測定値だと思うので(どちらの公式数値も同じだから)、こちらに含めます。

エリートキャンプのStanding Vertで一番高く跳んだのは、マシュー・マレルくん* (Matthew Murrell)で34.5インチ(約87.5cm)。2番目に高かったのは、ウーガ・ポプラーくん* (Wooga Poplarの33.5インチ(約85cm)。2人ともアーリーエントリーは撤回しています。

次いで、ジャミーア・ネルソン・Jrくん (Jameer Nelson Jr.)が32.5インチ(約82.5cm)、テレル・バーデンくんが32インチ(約81cm)、ブギー・エリスくん (Boogie Ellis)とアレン・フラニガンくん (Allen Flanigan)が31.5インチ(約80cm)で、ここまでがTOP5の高さ。

ブギー・エリスくんは、エリートキャンプからドラフトコンバインに追加で招待された1人です。
高校時代からずっと気にかけていて、昨季のカレッジお気に入りTOP5でもある…という話は、身体測定 前編でも書きました。

ブギーエリスくん元々はDukeコミットでしたが、カレッジ入学直前くらいのタイミングで、Duke行きを取りやめ、Memphisに進学しました。この年、トレ・ジョーンズくんがドラフトエントリーせずにカレッジに戻ったことが、Duke行きをやめた理由ではないかと言われています(参考)。カレッジでは、Memphisで2シーズン、USCで3シーズンプレーしました。

カレッジで経験積んで、特に昨季と今季はホント頼もしかった!ブギーエリスくんのエリートキャンプでのハイライト動画を置いておきますね。

エリートキャンプのStanding Vertで、一番低かったのはタラン・アームストロングくん (Taran Armstrong)の22.5インチ(約57cm)。2番目に低かったのはアーロン・エストラダくん (Aaron Estrada)の23.5インチ(約60cm)。

3番目に低かったはウゴンナ・オニエンソくん* (Ugonna Onyenso)の24インチ(約61cm)で、その後はガーウェイ・デュアルくん* (Garwey Dual)、ティエリー・ダーランくん* (Thierry Darlan)とまたしてもWingspanとStanding Reachの長いコたちが続きます。

たとえば、エストラダくんとデュアルくんでは、デュアルくんの方が身長は0.5インチ高くて、ジャンプが1インチ高いんですが(合計1.5インチ)、最高到達点だと8インチ(約20cm)くらい違います。

ジャンプの低さは長さや高さでカバーできてるんだな…とか思ったんですが、もしかしたら長さと高さの利があるが故に、ジャンプ力があまり育たなかった可能性もあるのかなとふと思いました。確認する術はないけど…

今年のエリートキャンプでのStanding Vertical Leapの平均は約28インチ(約71cm)でした。

PITのジャンプは垂直跳びのみ

PITの測定結果にはStanding Vertだけで、Max Vertはありません。

PITのStanding Vertで一番高く跳んだのは、エリック・ゲインズくん (Eric Gaines)、ジェシー・エドワーズくん (Jessee Edwards)、エンリケ・フリーマンくん (Enrique Freeman)の3名で33.5インチ(約85cm)でした。

エリック・ゲインズくんのジャンプは期待どおりの高さでした🙌
みんなこのエリックゲインズのブロック見てっ

いやー、PITのMax Vertの測定がないの残念だわー。
長さとジャンプの高さを考えると、エリックゲインズくんの最高到達点はよさそうなのになー。

今年のPITでのStanding Vertical Leapの平均は約29インチ(約74cm)でした。

Max Vertical Leap (助走ありジャンプ)

ドラフトコンバインの助走ありジャンプ

ドラフトコンバインのMax Vertで一番高かったのは42インチ(約106.5cm)で、キーシャッド・ジョンソンくん (Keshad Johnson)、リード・シェパードくん (Reed Shepperd)、トレンティン・フラワーズくん、デビン・カーターくんの4名です。

4名のうちトレンティンフラワーズくん以外は測定時の動画があるので、おいておきますね。

ちなみにこの4名は4名ともStanding Reach/身長比が低めです。特にリードシェパードくんはWingspanの短さを考慮してもちょっと低すぎる気がしてます。

次いで、トレボン・ブラジルくん* (Trevon Brazile)が41インチ(約104cm)、ブロニー・ジェームスくん (Bronny James)とKJ・シンプソンくん (KJ Simpson) が40.5インチ(約103cm)、アデム・ボナくんが40インチ(約101.5cm)で、ここまで8名が助走ありで40インチ超えです。

41インチ跳んだトレボンブラジルくんは1年半前(2022年12月)にACL断裂(参考)で手術をしたにもかかわらず、この高さ! 2022-23シーズンは残り全休でしたが、2023-24シーズン初めから復帰していました。エントリーは撤回してカレッジに戻っているので、来季のカレッジを楽しみにしましょう。

トレボンブラジルくんの、StandingとMaxの両ジャンプの測定動画があるので、置いておきますね。

ドラフトコンバインのMax Vertが一番低かったのは、クインテン・ポストくん (Quinten Post)の27インチ(約68.5cm)。2番目に低かったのが、ペイトン・サンドフォートくんの28インチ(約71cm)、3番目に低かったのが、ドノバン・クリンガンくんとフアン・ヌニェスくんの29インチ(約73.5cm)でした。

今年のドラフトコンバインのMax Vertical Leapの平均は、約35インチ(約89cm)でした。

エリートキャンプの助走ありジャンプ

エリートキャンプのMax Vertで一番高く跳んだのは、ジャミーア・ネルソン・Jrくんの41インチ(約104cm)。2番目に高かったのは、マーク・アームストロングくん (Mark Armstrong)、テレル・バーデンくん (Terrell Burden)、マシュー・マレルくん* の40インチ(約101.5cm)で、この4名が助走ありで40インチ超えです。

マークアームストロングくんはジャンプ高いイメージある!これは高校時代の動画だけど。

エリートキャンプのMax Vertが一番低かったのは、ウゴンナ・オニエンソくん* の27.5インチ(約70cm)。2番目に低かったのは、ブレイク・ヒンソンくん (Blake Hinson)の28.5インチ(約72.5cm)、タラン・アームストロングくん (Taran Armstrong)の29インチ(約73.5cm)でした。

今年のエリートキャンプのMax Vertical Leapの平均は、約34インチ(約86.5cm)でした。

ジャンプの測定でいい記録を出すためのトリックがあるらしい

まぁ薄々知ってましたけどね。

Standing Reachの高さがジャンプの測定に影響するという話は、身体測定 後編のStanding Reachのとこで書きました。

ドラフトコンバインのMax Vertの項で、42インチ跳んだ4名ともStanding Reach/身長比が低めで、特にリードシェパードくんはちょっと低すぎる気がする…と書きました。

その42インチ跳んだリードシェパードくんが自らトリックがあると明かしてくれてるインタビュー動画があります。

明確にStanding Reachを低くするトリックだと言ってるわけではないんですが、これまで巷で散々言われてきたことも考慮すると、おそらくそうなんじゃないのかなーーーーと。

じゃあリードシェパードくんのジャンプはホントは低いのか…というと、まぁそんなことはありません。カレッジ時代の公式測定でもMax 39インチ跳んだらしいし、後述する最高到達点から見ても決して低いわけではありません。

最高到達点 TOP5

最高到達点は、Standing Reach + Max Verticalで出しています。

今年の測定結果はいまひとつパンチが足りない(=Wingspanが長くない!)なーとか思っていたんですが、最高到達点は高いコが多いです。

ドラフトコンバインとエリートキャンプの両方をあわせて、最高到達点12フィート超えが14名いました(昨年は8名、一昨年は6名)。最高到達点の高いコがやたらと多かった2021年と同じくらいの数ですね。

名前
最高到達点 / 靴なし身長

1. トレボン・ブラジル (Trevon Brazile)
12′5.5″ (約380cm) / 6′9.25″ (約206.5cm)

2. クレル・ウェア (Kel’el Ware)
12′4.5″ (約377cm) / 6′11.75″ (約213cm)

3. アデム・ボナ (Adem Bona)
12′4″ (約376cm) / 6′8.25″ (約204cm)

3. イブ・ミッシ (Yves Missi)
12′4″ (約376cm) / 6′10.75″ (約210cm)

5. アレキサンドル・サー (Alexandre Sarr)
12′3″ (約373cm) / 6′11.75″ (約213cm)

TOP5は5名ともドラフトコンバインでの測定です。

トレボンブラジルくん* の12′5.5″は、2021年のジェリコ・シムズくん(12′6.5″)、2020年のウドカ・アズブキーくん (12′6″)に次ぐ、ドラフトコンバイン史上3番目の高さです。 エリートキャンプを含めても高さとしては3番目かな(上位5名に入る)。

今年の最高到達点3位だった、アデムボナくんのハイライト動画がUCLA公式から出てたので置いておきますね。

2021年の5位は12′2″だったので、今年の方が高いとも言えるのかな🤔
でもTOP5のコの身長を見ると、2021年のTOP5のコたちより高いので、今年は長くてジャンプの高いコが多いわけではなく、そもそも身長の高いコが多いからなのかも。

サイズのデカい2人、イーディくんとクリンガンくんは、イーディくんが6番目(12′2.5″/約372cm)、クリンガンくんは12番目(12′0″/約366cm)でした。

その他の12フィート超えのコをずらっと並べておきますね。
ジェシー・エドワーズくん(12′2.5″)、ジョナサン・モボくん(12′2″)、Izan Almansaくん* (12′1″)、キーシャッド・ジョンソンくん(12′1″)、ユーリッシュ・ショムシェくん(12′0.5″)、ンファリ・ダンテくん(12′0″)、オソ・イグダロくん(12′0″)。

Standing Reachの測定値が怪しい=ジャンプの測定値も怪しいリードシェパードくんですが、最高到達点はどんな感じか見てみましょう。

リードシェパードくんの最高到達点は11′3.5″(約344cm)で、身長が2インチ高いカールトンキャリントンくんと同じです。

シェパードくんと同じくらいの身長(6′1.25″〜6′2.25″)のコたちと、最高到達点/身長比を比べてみると平均よりは上なので、Wingspan/身長比が平均より短いことを考慮すると腕の短さを補うくらいのジャンプ力はあるってことかなと。

ここではリードシェパードくんだけを挙げましたが、Standing Reachの数値が怪しいコは他にも複数います。

Max VertよりもStanding Vert説

体力測定 前編にも引用した、2021年のチャド・フォードさんの記事に、NBAチームは一般的に、Max VertよりもStanding Vertの方が試合中の運動能力を示すものだと考えている…と書かれています。

NBA teams generally regard the standing vert as more indicative of “in the game” athleticism than the max vertical jump.

Draft Combine Athletic Testing – by Chad Ford

身体能力が全体的に高そうなコたち

巷でもさんざん言われてましたが、ドラフトコンバインで身体能力が一番高そうなのは、やっぱりデビン・カーターくん!

ドラフト史上最速だった3/4 Court Sprintをはじめ、ジャンプ2種目でも今年のドラフトコンバインで1位。Lane AgilityはTOP3。Shuttle RunはTOP10。

逆に身体能力が一番低そうなのは、4種目でワースト5だったドノバン・クリンガンくんかな。でもそこはデカさでカバーですね。

エリートキャンプで身体能力が一番高そうなのは、マシュー・マレルくん*かなー。ただShuttle Runだけは平均程度なんですよね。

PITの測定では…強いていえば、エリック・ゲインズくんとアレン・フラニガンくんの身体能力が全体的に高そうでした。

ちょっとみんなエリック・ゲインズくん覚えてくれた?
最後にフルゲーム動画置いておきますね。グレーのジャージーの背番号4がエリックゲインズくんです。

体力測定の測定値がない選手の過去測定値

前回の最初のとこで書いたように、体力測定の数値がない選手のうち、テレンス・シャノンくんとケビン・マカラーくんとロブ・ディリングハムくんは過去の数値があるので参考までに置いときますね。

テレンス・シャノン・Jr (Terrence Shannon Jr.)
2023 ドラフトコンバイン
Sprint 3.06秒
Lane Agility 10.36秒
Standing Vert 32インチ
Max Vert 37.5インチ

ケビン・マカラー・Jr (Kevin McCullar Jr.)
2022 エリートキャンプ
Sprint 3.19秒
Lane Agility 11.09秒
Shuttle Run (L) 3.196秒
Shuttle Run (R) 3.295秒
Standing Vert 30.5インチ
Max Vert 37.5インチ

ロブ・ディリングハム (Rob Dillingham)
2023 カレッジ公式
Sprint 3.2秒
Lane Agility 10.54秒
Standing Vert 32インチ
Max Vert 40インチ

あとがき

よーし、最低限のとこはドラフト前に書けたぞ…
もうここまででいいやって思ってたんだけど、何人かフルゲーム動画まとめのプレイリストをYouTubeに作成したのでそのまとめと、今年のドラフトお気に入りTOP5の名前だけでも書いておきたい!

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