NBAドラフトまであと1ヶ月を切りました!
NCAAの定めたアーリーエントリーの撤回期限が現地5/29だったので、NCAAからのドラフト候補は概ね確定しました。 エントリーを取り下げた選手のリストはNBAの公式サイトで。
93 early entry candidates withdraw from 2024 NBA Draft
NBA側のアーリーエントリー撤回期限は、いつものとおりドラフトの10日前(今年は6/16)なので、プロ選手(米国・海外問わず)やカレッジに戻らない選手はその日まで撤回が可能です。
アーリーエントリーについてのおさらいと、アーリーエントリー人数の推移や内訳についてメモっておきます。例によって未来の自分のためのメモ。
アーリーエントリーについてのおさらい
NBAドラフト指名対象になる条件についての詳細は、過去記事で。
NBAドラフト予習 : ドラフトの指名対象となるための条件 | 24seconds
NBAドラフトの指名対象になるための必須条件は満たしていても、自動的にNBAドラフト指名対象にならない場合には、ドラフトの60日前(今年は4/27)までに書面でエントリーの手続きを必要があります。これがいわゆる「アーリーエントリー」 (early entry)といわれるものです。
NCAAでのプレー資格が残っているカレッジ選手や22歳未満のプロ選手(米国・海外問わず)は、アーリーエントリーが必要です。
アーリーエントリーは2回まで撤回できる
アーリーエントリーの場合には、2回までエントリーを撤回することができます。
この「2回まで」というのはNBA側(CBA)で定められているルール※1なので、カレッジ選手だけでなく、プロ選手(米国・海外問わず)も同様です。
※1 NBA-NBPA CBA, ARTICLE X, Section 8
NBA側の撤回期限とNCAA側の撤回期限
「アーリーエントリーの撤回期限」には2種類あります。
NBAの定めた期限とNCAAの定めた期限です。
NBA側の撤回期限
冒頭に書いたように、NBAが定めているアーリーエントリーの撤回期限はドラフトの10日前に設定されています。2024年の場合は現地6/16です。
すべてのアーリーエントリー選手はこの日までエントリーを撤回することができます。エントリーを撤回した選手は、自動的にドラフト指名対象となるまでは※2再びアーリーエントリーをすることができます(ただし撤回できるのは2回まで)。
※2 NCAA選手の場合はカレッジでのプレー資格がなくなるまで、プロ選手の場合は22歳になるまで
NCAA側の撤回期限
NCAAでプレーする資格が残っていて、かつ資格保持のためのルール※3に沿ってドラフトにエントリーしている場合には、アーリーエントリーを撤回して再びカレッジでプレーすることが可能です。
ただしそのためには、「NCAAの定めた撤回期限」までにエントリーを撤回して、大学側に戻ることを伝えなければいけません。 NCAA側の撤回期限は、ドラフトコンバインの10日後とされていて、2024年の場合は現地5/29でした。
カレッジに戻ってプレーしないのであれば、NCAAからエントリーした選手も6/16まで撤回が可能です。(アーリーエントリーを撤回してプロチームでプレーしながら再びドラフトを目指すとか)
※3 NCAAでのプレー資格を保持したまま、ドラフトにエントリーする際のルールなどについては以下の資料を参照してください。
Information Regarding the 2024 National Basketball Association Draft and Combine, Agents and Workouts (PDF)
NCAA側の撤回期限の紆余曲折
若干余談気味ではありますが、NCAAのエントリー撤回期限がドラフトコンバインの10日後に定められたのは2016年のドラフトからです(参考)。
そもそもNCAAがアーリーエントリーの撤回期限を定めたのは2010年のドラフトからで、2010年以前はカレッジ選手もNBAが定める期限(ドラフトの10日前)まで撤回すれば、カレッジに戻ることが可能でした(参考)。
2010年から2015年までは、NCAA側の撤回期限がドラフトコンバインよりも前に設定されていて、特に2012年から2015年まではアーリーエントリーの締切よりも前に撤回期限が設定されていました。「アーリーエントリーの締切よりも前に撤回期限が設定されている」って意味わかります?
なんだこの奇怪なスケジュール「April 10: NCAA Early Entry “Withdrawal” Deadline」
— リエ / Rie (@noisebox) March 27, 2012
「April 29: NBA Draft Early Entry Eligibility Deadline」 http://t.co/bukFQ5DJ
つまり2012年から2015年までは、お試しエントリー的なものはほぼなかったということです。
なので、NCAAからのアーリーエントリー人数(エントリー締切時点)の推移を見ると、2012年から2015年は少なくて、NCAAの撤回期限がドラフトコンバインの後になった2016年からすごく増えています(参考)。
NCAAの定めたアーリーエントリー撤回期限が過ぎました
またしても前置きが長くなりましたが、やっと今年の話です。
冒頭でも書きましたが、現地5/29にNCAAの定めたアーリーエントリー撤回期限を迎えました。カレッジに戻ることを決めた選手たちは、すでにエントリーを撤回しています。
エントリーを取り下げた93名のリストはNBAの公式サイトで見ることができます。
93 early entry candidates withdraw from 2024 NBA Draft
前の項で書いたように、海外選手やカレッジに戻らない米国選手は、NBA側の撤回期限であるドラフトの10日前(現地6/16)まで撤回が可能です。
公式から発表された撤退者93名には、カレッジからのエントリーではない選手が3名含まれています。
- Roberts Blums (VEF Riga)
- Malik Bowman (Overtime Elite/Lusitania)
- Somto Cyril (Overtime Elite)
この3名のうち、OTEからエントリーしたソムト・シリルくんは来季NCAA(Georgia)でプレーする予定ですが、あとの2人は現時点で撤退しているというだけでNCAAに行くわけではなさそうです。
NCAAからのアーリーエントリー人数の推移
NCAAからアーリーエントリーして現時点でエントリーを撤回した選手は、公式発表の93名から前項の3名を除いた90名。
撤退者数は2022年や2023年より減っているのですが、今年はそもそもアーリーエントリーした人数がとても少なかったので、カレッジからのアーリーエントリーはとても少ないという結果になってます。
2024年のアーリーエントリー締切時点でのカレッジからのエントリーは144名だったので(過去記事参照)、ドラフトに残った選手はなんと54名!!
数え間違ってるんじゃないかと思って、何度も見直しちゃったよ(手動で数えてるわけじゃないけど)。
2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|
エントリー人数 | 247 | 192 | 144 |
撤退者数 | 112 | 108 | 90 |
ドラフトに残った人数 | 135 | 84 | 54 |
※念のためですが、これはあくまでもアーリーエントリー対象選手の人数なので、今年のドラフト指名対象のカレッジ選手が54人しかいないというわけではありません。
前述の表1の人数には、コロナ禍特例による追加のプレー資格が残っているカレッジSeniorの選手が含まれています。本来はカレッジで4年間プレーした選手は自動エントリー対象なので、Senior選手はアーリーエントリー対象ではありません。
来年にはコロナ禍特例の追加資格が残っている選手※4はいなくなるので、カレッジで4シーズンプレーしたSenior選手のアーリーエントリーは不要になるはずです。
なので、今後のためにもSeniorを除いた本来のアーリーエントリー人数も出しておきましょう。ドラフトに残った人数は昨年よりもさらに少ない33名!!
2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|
エントリー人数 | 123 | 104 | 81 |
撤退者数 | 61 | 59 | 48 |
ドラフトに残った人数 | 62 | 45 | 33 |
この33名というのは、カレッジ選手のお試しエントリーがほぼなかった2012年〜2015年よりも少ないです。
アーリーエントリー締切の時に、エントリー人数は少なかったけど撤退者も少なくて最終的には変わらなかったりするんじゃないかと思ったんですが、そんなことはなかったです。 キッチリ減ってました。
※4 コロナ禍特例で1年追加のプレー資格が与えられたのは2020-21シーズンに在籍していた選手なので、この年Freshmanだった選手が2024-25に追加のプレー資格を使い切ることになる(過去記事参照)
学年別の撤退者数・ドラフトに残った選手の数
撤退者数を学年別に見てみます。学年が上になるほど撤退者が多いのは、今年も同様です。
2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|
Fr. | 3 | 9 | 9 |
So. | 11 | 12 | 15 |
Jr. | 47 | 38 | 24 |
Sr. | 51 | 49 | 42 |
現時点でドラフトに残っている選手を学年別に見てみると、学年ごとの差が少なくなってきているように見えます。
2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|
Fr. | 24 | 21 | 14 |
So. | 15 | 9 | 9 |
Jr. | 12 | 15 | 10 |
Sr. | 73 | 39 | 21 |
ドラフトコンバインやエリートキャンプに参加してアーリーエントリーを撤回した選手
撤退者数自体が減っているので、NBAドラフトコンバインやGリーグエリートキャンプに参加してアーリーエントリーを撤回した選手の人数も昨年よりも減ってました。
2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|
ドラフトコンバイン | 7 | 14 | 12 |
エリートキャンプ | 11 | 21 | 13 |
合計 | 18 | 35 | 25 |
そもそもエントリー人数が著しく減っているので、ドラフトに残った人数で比較しないと意味ない気がするんですが、今年はそれやるのもうめんどくさいのでまた来年(もしくは夏の自由研究で)。
あとがき
なぜカレッジに戻る選手が増えたのかというアタシの考えは、昨年の同記事に書いていて、今も同じように思っているのでそちらをご参照ください。
NBAドラフト2023 : NCAAの定めたアーリーエントリー撤回期限 | 24seconds
アタシ的には、カレッジで長くプレーしてくれる選手が増えることはとても喜ばしいことだし、その結果、NCAAからのドラフト対象選手の平均年齢が上がったりしてカレッジで経験積んだ上級生のドラフトでの評価が上がっていくといいな!と思ったんだけど、むしろそれよりも、若さとポテンシャル重視の上位指名枠に海外選手がさらに増えることになるのかも、とも思いました。
カレッジバスケ界はいろいろと過渡期だと思うので、今後もいろいろ変化があるのではないかと思います。それによってNBAでプレーする選手の層が変化することになるのかもしれません。
さて、カレッジからドラフト対象選手はほぼ確定したということで、ドラフト予習はこっからが本番ですよ。モチベーション高めて行きましょー🔥
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