NBAドラフトコンバイン開催まであと数日となりました。ドラフトコンバインはじまる前に書けてよかったよ…
2024年のドラフトコンバインは、現地5/12〜19に開催されます。例年より開催期間がちょっと長いですね。招待選手78名はすでに発表されています。
NBA announces 78 players to attend 2024 Draft Combine
※ドラフトコンバイン開催前にドラフトエントリーを撤回したライアン・カルクブレンナーくんの代わりにジェイレン・ウェルズくんが繰り上げ招待されています(参考)
前回の記事でちょろっと書いたとおり、2023年版CBAに基づいて、ドラフトコンバインに招待された場合の参加が必須となりました。というわけで、ガンバってCBA(その部分だけ)読んだので忘れないようにここに書いておこうと思います。
英語の理解も日本語の訳文もまったくもって自信ないので、ところどころ原文も併記しておきました。端折ってるところも多いので、正確な内容は公式文書を参照してください。
記事中の英文引用は、NBPAのサイトに掲載されているCBA(Collective Bargaining Agreement)からのものです。
▷2023 NBA-NBPA Collective Bargaining Agreement(PDF)
理解が違っているところや、日本語ダメすぎて文章の意味がわかんないとかありましたら、ご指摘いただけると助かります!!
ドラフトコンバインへの参加義務
2017年版CBAには参加を強く推奨すということしか書かれてませんでしたが、2023年版CBAの第10条第9項には、ドラフトコンバインに参加する義務を果たさなかった選手は、その年のドラフトで指名される資格がなくなると明記されています。
(a) この合意書のほかの規定にかかわらず、NBAからドラフトコンバインに招待された選手のうち、NBAと選手会との協議により、第22条第14項に従ったドラフトコンバインへの全面的な参加の義務を果たさなかったと判断された選手は、そのドラフトコンバイン直後のNBAドラフトで指名される資格がないものとする。
(a) Notwithstanding any other provision of this Agreement, any player invited by the NBA to attend the Draft Combine who is reasonably determined by the NBA in consultation with the Players Association to have failed to fulfill his obligation to fully participate in the Draft Combine in accordance with Article XXII, Section 14 shall be ineligible for selection in the NBA Draft immediately following such Draft Combine.
ARTICLE X, Section 9
従うべきとされている「第22条第14項」では、ドラフトコンバインの内容について定められています。詳しくは後述。
ドラフトコンバインへの参加義務を果たさなかった場合
参加義務を果たさなかった場合に指名される資格がなくなるのは「そのドラフトコンバイン直後のNBAドラフト」だけです。二度とドラフト指名の対象になれないわけではありません。
アーリーエントリー選手の場合はアーリーエントリー撤回と同様に見なされ、アーリーエントリーではない選手は自動的に次回ドラフトの指名対象になります。
(i) アーリーエントリー選手の場合、第8項(c)に従ってそのドラフトから撤退したものとみなされる。(その選手が過去に2回以上のNBAドラフトから撤退していた場合でも)
(i) an Early Entry player, then he will be deemed to have withdrawn from such Draft in accordance with Section 8(c) above (even if such player had previously withdrawn, or had previously been deemed to have withdrawn, from two (2) or more NBA Drafts); or
ARTICLE X, Section 9
ここに出てくる第8項(c)というのは、アーリーエントリーから撤退する権利について述べられている部分です(過去記事参照)。第8項(c)では2回を超えて撤回することはできないと定められているのですが、この場合は例外だということですね。
(ii) アーリーエントリー選手でない場合、その選手は次に行われるドラフトにおいて、第1項(b)または 第4項(a)で規定された条件を満たすと見なされる。
(ii) not an Early Entry player, then he will be deemed to meet the criteria set forth in Section 1(b) or Section 4(a) above, as applicable, in respect of the Draft immediately following such Draft.
ARTICLE X, Section 9
平第1項(b)はドラフト指名されるための条件について述べられている部分で、過去記事で長々と書いた部分です。第4項(a)はドラフト指名されたけど期限までにチームが契約を提示しなかった場合の取り決めについて書かれています。そっちはよく読んでないので気になる方は公式資料を参照してください。
ドラフトで指名される資格を失った場合、改めてドラフトの指名対象にならない限りはNBAと契約をしたりプレーしたりすることはできません。これは一度もドラフト指名対象なったことがないのと同じ扱いで、ドラフトで指名されなかった選手とは違います。
関連して、第10条第10項として新たに「Combine-Related Eligibility Disputes」という項が追加されています。そこでは、ドラフト指名される資格がないと判断された場合の紛争について定められています。
参加しなければならないコンバイン・コンポーネント
具体的にドラフトコンバインの何に参加しなければいけないのかは、「第22条第14項」で定められています。これは2023年版CBAで新たに追加された項で、この内容に相当するものは2017年版のCBAにはありません。これまではドラフトコンバインの内容についての明示的な取り決めがなかったということはちょっとびっくりでした。
(a) 毎年、NBAはNBAドラフトの前に、ドラフトコンバインを企画し運営する。NBAからドラフトコンバインに招待されたすべての選手は、後述のドラフトコンバインの構成要素(コンバイン・コンポーネント)に出席し、参加することが求められる。
(a) Each year, the NBA shall organize and operate a Draft Combine prior to the NBA Draft. All players invited by the NBA to attend the Draft Combine shall be required to attend and participate in the following components of the Draft Combine (“Combine Components”):
ARTICLE X, Section 10
以下の(i)〜(vi)が、参加しなければならないコンバイン・コンポーネントです。
(i) ストレングスとアジリティのテスト、シューティングドリル、パフォーマンステスト、身体測定。(5-on-5のスクリメージやその他の攻撃対守備のドリル(ハーフコートの4-on-4や2-on-1)はすべての選手にとって任意)
(i) Strength and agility tests, shooting drills, performance testing, and anthropometric measurements (e.g., height, wingspan) (five-on-five scrimmages or any other live action offense versus defense drill (e.g., half-court four-on-four or two-on-one) shall be optional for all players);
ARTICLE X, Section 10
(ii) リーグの指示による医療履歴情報、医学的検査(例:MRI、心エコー、薬物検査以外の検査)、診察、生体力学的および機能的運動テスト。追加検査等も含む。
(ii) League-directed: medical history information, medical testing (e.g., MRIs, echocardiograms, and laboratory tests, other than tests for controlled substances), medical examinations, and biomechanical and functional movement testing, including, for clarity, with respect to any of the foregoing in this subsection (ii), any medical examination in accordance with subsection (d) below and/or follow-up in accordance with subsection (e) below;
ARTICLE X, Section 10
(iii) メディアサーキット
(iv) 選手育成セッション
(v) チームインタビュー
(vi) その他のテストおよび/または評価
(iii) Media circuit;
ARTICLE X, Section 10
(iv) Player development sessions;
(v) Team interviews; and
(vi) Other tests and/or assessments.
コンバイン・コンポーネントは選手会と協議の上でNBAによって決定されるそうです。必要と判断された場合、追加の検査や診察を求められる場合もあります。
ドラフトコンバインへの不参加が認められる場合
ドラフトコンバインへの参加が必須になるという話が出てきた時、ケガで参加できないコたちはどうするんだろうと真っ先に思い浮かんだのですが、どうしてもムリだと判断されれば免除になるようです。
身体的な理由で参加できない場合
(b) 前述のコンバイン・コンポーネントへの参加義務にかかわらず、1つ以上のバスケットボールアクティビティ(a)(i)、医学的検査・生体力学的および機能的運動テスト(a)(ii)、その他のテストや評価(a)(vi)に身体的に参加できない場合、その選手は以下の条件に従う:
(b) Notwithstanding the foregoing requirement to attend and participate in the Combine Components, any invited player who is physically unable to participate in one or more basketball activities (as set forth in subsection (a)(i) above), medical testing or biomechanical or functional movement testing (as set forth in subsection (a)(ii) above), or any other tests or assessments at the Draft Combine (as set forth in subsection (a)(vi) above) shall be
ARTICLE X, Section 10
(i) ドラフトコンバイン当日に該当するアクティビティやテストの一部、またはすべてが免除される。
(ii) ドラフトコンバインでは、可能な範囲でコンバイン・コンポーネントを完了することを求められる。
(iii) 身体的に不可能である場合を除き、ドラフトの11日前までに、NBAが合理的に判断した範囲で残りのコンバイン・コンポーネントを完了することが求められる。
(i) excused from participation in some or all of the applicable activities or tests at the time of the Draft Combine, (ii) required at the Draft Combine to complete the Combine Components that he is able to complete, and (iii) required subsequently to complete, by no later than the eleventh day before the Draft, the remaining Combine Components, as reasonably determined by the NBA unless he remains physically unable to do so.
ARTICLE X, Section 10
身体的に可能か不可能かという判断については、選手の主治医の意見を考慮しつつ、ドラフトコンバインのメディカルディレクターが決定するそうです。
その他のやむを得ない理由で参加できない場合
身体的な理由以外でも合理的な(=やむを得ない)理由であれば、参加を免除される場合があります。
(c) NBAは、合理的な理由(家族の不幸、子供の誕生、シーズン中のクラブでのプレーなど)により、招待された選手がドラフトコンバインの1日以上に出席を免除することができる。そのような選手は、ドラフトの11日前までにNBAが選手会と協議し合理的と判断した範囲で、コンバイン・コンポーネントを完了することを求められる場合がある。(Global Campへの出席やNBAが手配したテストや検査など)
(c) The NBA may excuse an invited player from attending one or more days of the Draft Combine due to a reasonable excuse, as reasonably determined by the NBA (e.g., family tragedy, birth of a child, playing with a FIBA club that is still in season at the time of the Draft Combine). Any such player may be required subsequently to complete, by no later than the eleventh day before the Draft, Combine Components as reasonably determined by the NBA in consultation with the Players Association (e.g., by attending an NBA Global Camp or via individual assessments and examinations arranged by the NBA).
ARTICLE X, Section 10
身体的理由の場合は可能な範囲で完了しなければならないけど、それ以外の理由の場合は「may be required」なので、完了しなくてもよい場合もあるってことですかね…
選手の医療情報へのアクセスに関する制限
ドラフトコンバインでのテストや検査への参加は必須になりましたが、(a)(ii)の医学的な情報については、すべてのチームがすべての選手の情報にアクセスできるわけではないようです。
第10条第10項の(g)には、Top-10 Formulaを組織してドラフト候補生トップ10のランキングを作成することについての詳細が書かれています(詳細は割愛)。それによって作成されたランキングが先日出回ってたこれですね。
NBA released a 78-player list for the 2024 Draft Combine in Chicago this month. Teams vote on participants, which include Bronny James.
— Shams Charania (@ShamsCharania) May 3, 2024
New "Top 10 Players" ranked for which teams are able to access Combine information: pic.twitter.com/AoRpaSnCFw
ポストに添付されてる画像にも書かれていますが、このランキングは特定の選手に関する情報へのチームのアクセス制限のためものです。チームが持っている指名権の順位によって、アクセスできる選手の情報が制限されます。
チームが入手した情報はドラフト評価の目的にのみ使用することができ、結果について他のチームの代表者と話すことは禁じられています。違反した場合の罰則についても定められています。
ドラフトが参加必須になるかもという話を見た時に、必須になった代わりに身体測定なんかの情報は公開しませんとかなったらどーしよー😱って恐れてたんですが(アタシはそこが楽しみなので!)、身体測定等(a)(i)は制限される情報に含まれていないので、これまでどおり公表される…はずです。
Pro Dayに関する規定
えーっとあとはですね、第29条第21項にPro Dayについての定めが追加されました。
エージェントや選手個人によって開催されるPro Dayにチームが参加することを禁止しています。チームが参加できるのは、ドラフトコンバインの一環として開催されるPro DayとNBPA主導で年2回*まで開催されるPro Dayのみとのことです。
*この場合の年は「Salary Cap Year」で7/1〜6/30
だいぶ端折ったけど、2023年版CBAで定められたドラフトコンバインに関することはこんなとこですかね…なんか重要な変更が漏れてたらお知らせいただけると助かります!
ドラフトコンバインのことを「身体能力測定会」みたいに書かれてるのを見たことあるんですが、そりゃまぁアタシとしても一番楽しみなのはそこですがっ、やってるのはそれだけじゃなくって、むしろアタシたちから見えないとこの方が重要なんだよね、きっと。
招待選手はチームの投票で選ばれる
ドラフトコンバインやGリーグエリートキャンプへの招待選手は各チームの投票によって選ばれています。
今年は各チームがドラフトコンバインに呼んで欲しい選手75名に投票しているそうで、得票数の多い順に78名がドラフトコンバインに招待され、続く45名がGリーグ エリートキャンプに招待されています(参考)。
Gリーグ エリートキャンプ
ドラフトコンバインに先駆けて5/11〜12にGリーグ エリートキャンプにが開催されます。
2024年は45名が招待されて、この中で評価の高かった選手は追加でドラフトコンバインにも招待されます。
NBA G League Announces Field Of 45 Draft Prospects For 2024 NBA G League Elite Camp In Chicago – The NBA G League
ちなみにGリーグ エリートキャンプについては参加規定等は定められていません。ついったで見かけた非公式な情報によるとGリーグ エリートキャンプの方は辞退した選手が何人かいるようです。その分追加で招待された選手があるようで、当初出回っていた44名のリストと公式から発表された最終リスト45名ではメンバーが違うようなのでご注意ください。
※追記 GリーグエリートキャンプはYouTubeで配信されるようです。
Ready to compete! 💪 Go behind the scenes with the guys as they ran through the content circuit at #GLeagueEliteCamp. Watch Day 1 of the action LIVE on the G League YouTube channel, tipping off at 1 PM/ET on Saturday.
— NBA G League (@nbagleague) May 10, 2024
📺: https://t.co/CA0OZG87wk pic.twitter.com/vks7LvhV9o
ドラフトコンバインとGリーグ エリートキャンプを合わせて123名が招待されました。
先日ついったでのフォロワーさんたちとのやりとりから思い立って、今年のコンバインとエリートキャンプに招待された選手たちについて、過去にもコンバインやエリートキャンプに招待されたことがあるかとかその他あれこれ調べてみたんですが、すでに長くなりすぎなのでそこら辺の話はまた次回。たぶん。
※追記 調べたことあれこれ書きました。
NBAドラフト 2024: ドラフトコンバイン招待選手について調べたあれこれ
2024年のNBAドラフトコンバインに招待された選手のうち何人が昨年も招待された選手なのかとか、2023年に招待された選手のうちドラフト指名された選手は何人なのかとか、そんな話です。
今年もまた雑な質問投げてるのでよかったらご回答ください。
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